No.338 大気汚染が認知症の原因の一つではないか?
2025.12.27 ⼤気汚染 は、COPDや喘息など慢性の呼吸器疾患の原因と悪化に深く関わる社会的な問題点とされてきました。 COPDの総寄与リスクの50%は⼤気汚染に関連 している可能性があると報告されています。1962年に制定の「煤煙の排出の規制等に関する法律(ばい煙規制法)」は、⽇本で最初の⼤気汚染防⽌に関する法律として知られています。 さらに1970 年には、公害問題に発展し、国会において、公害問題の早急な改善と汚染の防⽌を徹底するため、公害関係法令の抜本的整備が⾏われ、この時の⼤気汚染防⽌法の⼤幅な改正が、現在の原型となっています。 高齢者の人口が増えるに従い、問題となるのが認知症です。レビー小体型認知症は、アルツハイマー病および血管性認知症に次ぐ認知症の最も一般的な原因の一つです。 レビー小体型認知症を発症させる正確な原因は分かっていませんが、 高齢化、環境因子、遺伝 が関わっていることが、多くの研究者により証明されてきました。 ここで紹介する論文[1]は、最近、Scienceに発表された論文ですが、 PM2.5による大気
No.337 疲れた中年男性の「社会性睡眠時無呼吸症候群」とは何か?
2025.12.21 肥満気味の男性、中間管理職。毎日、遅くまでの勤務にヘトヘトである。付き合い上の飲み会も時々ある。閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)と診断され、CPAP治療を開始したが、鬱陶しい上に、酔って帰宅のことがあり、装着を忘れることがしばしばある。しかも、使っていない出張が時々ある。受診のたびに、きちんと使用するようにとうるさく言われるが、その時にはいたく反省するが毎日のことゆえ、うまくいかないことが悩み、という患者さんは多い。 重症OSAの治療は、CPAP療法であることはすでに確立された治療法ですが、先の男性のような悩みは共通しています。 睡眠のパターンは極めて個別性の高い生活習慣です。日本人は、欧米人と比較しても睡眠時間が短い、と言われます。週末こそは、のんびり、マイペースで過ごしたいと思う人は多いことでしょう。「華胥(かしょ)の国に遊ぶ」という言葉があります。中国古代の黄帝が昼寝をして理想郷「華胥氏の国」に遊んだ夢をみたという故事にちなむものです。 ここで紹介する論文[1]は、中高年世代に共通する生活習慣では 週末のくつ
No.336 期待される間質性肺炎の新しい治療薬
2025年12月1日 肺は、最大の容積を持つ内臓です。大人では、ほぼ、バケツ一杯に相当する容積を持つ臓器ですが、その内部構造は極めて繊細です。気道から取り入れられた空気は肺胞の壁を経て酸素を取り込み、体内で不要となった二酸化炭素を外に排出します。平均的な大人で肺胞の総数は約3億個。肺胞は直径約0.1mmから0.2mmの小さな袋であり、壁の厚さは約0.5μm以下と非常に薄く、その総表面積は、100平米以上。2階建て一軒家の床面積に相当します。これを使って死に至るまで、生涯、休むことなく呼吸運動を続け、身体の全臓器の機能を支えています。 間質性肺炎は、 肺胞の壁 を中心に発症する線維化を伴う炎症病変であり、肺胞の中に広がる細菌性肺炎とは区別されます。線維化を元の構造に戻すことは、例えていえば、もつれた蜘蛛の糸を元の構造に戻すような難しさがあります。 間質性肺炎 の効果的な治療法の開発は、肺がんの化学療法と並び呼吸器領域の最大のテーマといえるものです。 特発性肺線維症(IPF)は、多数に分類されている間質性肺炎を構成する病気の一つです。慢性進行
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